なぞの音
家でエアコンを入れたり、ストーブを入れるシーズンは、基本的に窓を閉めっぱなしで生活することになる。
ちょうど涼しい気持ちの良いシーズンはカーテンも窓も開け放つのだが、夏と真冬はしょうがない。
締め切った状態で、換気扇を付けると、何か変な音がして気になるのだ。
お風呂、トイレ、キッチンに換気扇があるが、全部付けるとものすごい音になる。
とくに酷いのが、機密性がアップしすぎていてドアを明けるときに、とても時間がかかること。
空気を抜いたジャムの瓶を開けるかのような辛さがある。
しかもベランダ側の吸気口からはポンポンポンと音がする。
これが一体何の音かはよく分からない。
しかし、機密性が高いので、窓を半開きにしないと鳴ってしまうんですよと、管理センターの方が言うのだが、暑い夏にエアコン入れているときに末を半開きするのはあまりない。
結局、あまり気になるときは、ベランダ側の窓を少しだけ開けることにしている。
ほんとに1cmほど明けただけで、ポンポンポンが聞こえなくなるから機密性って不思議。
そんな吸気口は今いるデスクの真上にある。
今まで気がつかなかったが、吸気口の周りが黒ずんでいるのでショックだ。
埃なのだろうが、少し触ってみると、サラサラした粉にようなものだった。
これを乾いたティッシュで拭き取ってから、水で濡らしたぞうきんでさっと拭き取って終わりだ。
床を清掃するときなんかは、自分で見ている範囲をまず綺麗にするが、いざ触ってみると、細かい埃がふいてくるので、これじゃまだまだ散らかっている!と反省するばかり。
何もしないのに汚れないでほしいな〜。
蝙蝠のすむ部屋
昔住んでいた家には蝙蝠が住んでいたようだ。
丁度姉の部屋だった場所が彼らのねぐらになっていたようで、壁からかりかり音がすると言って姉は殆ど不眠状態になった。
彼女は基本的には動物嫌いである。
ことに爬虫類や鳥類は大嫌いであったが、それに負けずとも劣らず、蝙蝠も嫌いであった模様である。
そんな彼女が、部屋の壁から聞こえる、虫か小動物が立てているであろう音を耳にしてしまった日には、眠れなくなるのも仕方なかろうというものだ。
その音は大抵毎日、夕方になると聞こえてくるのだが、ある日もっとひどいことになった。
その部屋にはエアコンが取り付けてあるのだが、その取り付けたところのエアコンと壁の隙間から、一瞬蝙蝠の羽根と鍵爪がはみ出したのである。
誰にも目撃されなければ問題はなかったのだが、運悪く姉がそれをどんぴしゃに目撃した。
彼女は殆ど半狂乱になった。
もうあんな部屋では寝られない、と泣きながら母の部屋へ避難した。
その後すぐにエアコンの隙間を養生テープ様のものですっかり塞いで、雨戸の戸袋なんかにも入り込んでいたからそこも綺麗に入れないようにして、ようよう姉を部屋に戻すことができた。
それからも当分の間びくびくしながら寝ていたが(おそらくはしばらく不眠状態は続いたであろう)、そのうちなんとか音も聞こえなくなったようだ。
それにしても部屋の壁の間に蝙蝠が住み着くなんてこともそうそうなかろうが、こともあろうに隙間からはみ出た羽根を目撃してしまうなんて。
つくづくかわいそうに。
けれども、運がないようでいて、実はすこぶる強運なのかもしれない。