偽妊娠

上野動物園で暮らすメスのパンダに妊娠の兆候が見られたとして、嬉しい報道があった。
しかしその2週間後、偽妊娠であることが分かった。
食欲が減るなどの妊娠兆候が続くのが普通だが、このパンダの食欲は再び増加。

妊娠が分かったと嬉しく思った上野動物園の関係者にとっては落胆することになった。
まるで、皇室での懐妊ニュース並みに扱われる国内のパンダ妊娠の話題。
繁殖が難しいどころか、雄と雌のお見合いもなかなか上手くいかない動物園のパンダ。

多額の”レンタル料”を中国に払っていることは有名だが、パンダに関わるスタッフたちにとって、新しい命を誕生させなくては!とプレッシャーになっているのではないだろうか。
動物の気持ちは分からないが、人間のプレッシャーがメスパンダに伝わってストレスを与えていないか心配だ。

パンダの赤ちゃんは産まれたあとも、母親が育児放棄をしたりなど、元気に育つのが本当に難しい。
だからこそ、お見合いが上手くいったり、妊娠の兆候が見られるだけでも、嬉しい話題なのだ。
どうしても上野ばかりが取り上げられるが、実は和歌山にある飼育所ではパンダの繁殖例がいくつかある。

私たちは、報道で知るだけだが、それでも落胆や嬉しい気持ちがある。
24時間パンダに寄り添うスタッフにとっては、私たちが知らないこともあるし、もっと落胆の気持ちが強かっただろうな、と偽妊娠の報道を見て思った。

自然の変化に適応できず、繁殖できずに絶滅する動物が多種いる中、素人目に見てもパンダは好待遇。
自然のままであれば、とっくにいなくなっていたかもしれない。
それでも必死に育てているスタッフにもたまにスポットを当てて頂きたい。

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